リウマチ因子(RF)

リウマチ因子(RF)の概要

この項目は、血液中のリウマチ因子(RF、リウマトイド因子)の量を調べる検査です。

リウマチ因子(RF)とは、ヒトのIgGと呼ばれる抗体に対する自己抗体です。
リウマチ因子は、関節リウマチ患者の約70~90%で高値を示します。
このように関節リウマチで陽性となりやすいため、関節リウマチの診断補助、リウマチ以外の関節炎をおこす疾患との鑑別の目的で用いられます。

よく勘違いされやすいのが、リウマチ因子高値(陽性)=関節リウマチと思われがちなことです。

これは間違いで、関節リウマチ患者で高頻度で高値(陽性)を示しますが、関節リウマチ以外の膠原病やその他の疾患でも高値(陽性)を示すことがあり、また健常者の数%・高齢者の約10%で高値を示すため、リウマチ因子(RF)検査で関節リウマチと判断されることはありません。

リウマチ因子検査には定性法と定量法が存在しますが、前者は主にスクリーニング検査として、後者は主にスクリーニング検査で陽性となった場合、関節リウマチの経過観察や治療効果の判定などに用いられます。

抗体と自己抗体
抗体とは、自分のカラダ以外のもの(細菌・ウイルスなどの異物、がん細胞など)を異物とみなしてこれを排除しようとする蛋白で、生体防御に重要な役割を果たしています。

自己抗体とは、免疫機能の異常により、本来異物ではない自分の成分を異物と認識して抗体がつくられ、自分自身の細胞を攻撃してしまうものです。

関節リウマチの診断基準

アメリカリウマチ学会1987年

1)朝のこわばりが1時間以上(6週間以上持続)
2)3ヶ所以上の関節の腫れ(6週間以上持続)
3)手、中手指節間関節、近位指節間関節の腫れ(6週間以上持続)
4)対称性の関節の腫れ(6週間以上持続)
5)手、指の特徴的X線変化
6)皮下結節
7)リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性

7項目中4項目以上あてはまる場合、関節リウマチと診断する

日本リウマチ学会 (1994年)

1)3ヶ所以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
2)2ヶ所以上の関節に炎症による腫れがみられる
3)朝のこわばりがある
4)皮下結節(リウマトイド結節)が肘や膝にみられる
5)血液検査で赤沈の異常がみられる、またはCRPが陽性である
6)血液検査でリウマチ因子(リウマトイド因子)が陽性

6項目中、3項目以上を満たすとき、早期関節リウマチと診断する

リウマチ因子(RF)の生理的変動

健常者でもリウマチ因子は高値(陽性)を示すことがあり(約5%)、高齢者になるほど、陽性率は上昇します。

検査の目的

1)関節痛や関節の腫れなどがあり関節リウマチを疑う時
2)関節リウマチ以外の関節症や関節炎との鑑別診断のため

参考基準値

定量法 (単位:U/ml)
15 以下

定性法
陰性 (―)

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

リウマチ因子(RF)が高値(陽性)を示す病態

1)関節リウマチ
2)膠原病
SLE(全身性エリテマトーデス)、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎 など
3)肝疾患
慢性肝炎、肝硬変 など
4)その他
慢性感染症、マクログロブリン血症、クリオグロブリン血症 など