赤血球数

赤血球数(RBC)の概要

この項目は、1μl中の赤血球の数を調べる検査です。

赤血球は主に骨髄で作られており、腎臓から分泌されるエリスロポエチンと呼ばれるホルモンによって造血が亢進されます。

赤血球の寿命は約120 日といわれています。
毎日だいたい0.8%の赤血球が寿命を迎え、また新しく作られています。

寿命を迎えた赤血球は、脾臓などの網内系で処理され、赤血球中の鉄分などは新しい赤血球を作るための材料として再利用されています。

血液の色は皆さん赤いと思いますが、これは赤血球に含まれるヘモグロビンによるものです。

赤血球数の生理的変動

性別による変動

赤血球数は、一般的に男性の方が女性よりも多い傾向にあり、特に女性の場合では、月経の影響により少ない傾向があります。

年齢による変動

新生児期はやや多い傾向にあり、幼児期には成人とほぼ同じ値となります。
高齢者になると成人期よりも少ない傾向があります。

その他の影響による変動

妊娠、特に妊娠後半では、循環血漿量が増加するため、見かけ上少なくなります。

激しい運動後などのように、カラダが脱水状態の場合、循環血漿量が減少するため、見かけ上多い場合があります。

また、高地居住者の場合、酸素濃度が少なく、その状況下で体内に酸素を必要量取り込む必要があるため、赤血球数が多い傾向があります。

その他、喫煙者では多い傾向があります。

赤血球の形状と働きについて

赤血球の形状は、直径7~8μmの円盤状で中央が窪んでいます。
穴はあいていませんが、ドーナツに似た形をしています。

赤血球は他の細胞と異なり、核が存在しません。
ヘモグロビンが全重量の3 分の1 を占め、残りのほとんどが水分です。

赤血球の働きは、肺から酸素を受け取り、全身の組織へ酸素を運搬しています。
これは赤血球内のヘモグロビンによるものです。

赤血球の形状がドーナツ状であるメリット
・外からの力や浸透圧の変化に対して壊れにくい。
・形が変化しやすいので、細い血管も通過できる。
・表面積が広いので、ガス交換の効率が良い
などのメリットがあります。

赤血球と貧血

赤血球やヘモグロビンが減少した状態を貧血と呼びます。

貧血とは、赤血球又はヘモグロビンが減少したために、全身の組織に十分に酸素がいきわたっていない、言わば酸欠状態です。

そのため、貧血になると、動悸や息切れ、立ちくらみ、疲れやすいといった様々な症状がでます。

赤血球の減少は貧血を示しますが、貧血にもいくつかの種類が存在します。
それを、ある程度区別するために、 ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値・赤血球恒数(MCV・MCH・MCHC)などを参考にします。

※赤血球恒数に関しては、こちらの赤血球恒数をご覧下さい。

貧血の原因

1)赤血球を作るために必要な材料が不足する場合
赤血球を作るためには、鉄分以外にも葉酸やビタミンB12などが必要であり、これらが不足することによって、赤血球がつくられなくなり貧血となります。

2)赤血球を作る場所である骨髄の異常
骨髄の病気や機能異常によって、赤血球がうまく作れなくなり貧血となります。

3)赤血球が過剰に喪失した場合
赤血球が正常に作られても、それ以上に体内で持続的に出血していたり、外傷などで大量に出血した場合や、脾臓の機能亢進により赤血球が過剰に壊されることにより赤血球が不足して貧血となります。

検査の目的

1)診療時に実施する基本的項目として
2)健康診断の貧血検査として
3)貧血または多血症が疑われる場合や治療の経過観察

参考基準値  (単位:万/μl)

男性 : 430 ~ 570
女性 : 380 ~ 500

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

赤血球数(RBC)が異常を示す病態

高値(多い場合)
真性多血症、脱水症、高地居住者 など

低値(少ない場合)
小球性低色素性貧血(MCV、MCHCともに低下)
鉄欠乏性貧血、慢性感染症、持続的な出血 など

正球性正色素性貧血(MCV、MCHCともに正常)
再生不良性貧血、白血病、脾機能亢進症(バンチ症候群)、腎性貧血、溶血性貧血(発作性夜間ヘモグロビン尿症 など) など

大球性貧血 (MCV上昇・MCHC正常)
巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、胃摘出後、肝硬変、甲状腺機能低下症 など

※MCV・MCHCに関しては赤血球恒数のページをご参照下さい。

検査時の注意事項

激しい運動により高い値を示すことがあるので、検査前は激しい運動は控えましょう。