再生不良性貧血と検査について

再生不良性貧血の概要

再生不良性貧血とは、血液中の赤血球・白血球・血小板がが減少する病気です。

原因は、骨髄にある血液のもととなる細胞(造血幹細胞)が何らかの原因で障害を受けることにより、赤血球・白血球・血小板の産生が減少するために起こります。

この病気は、男性の方が女性よりも罹りやすく(1.5倍)、男女とも20歳代と60~70歳代に患者のピークがあります。
再生不良性貧血は、人口100万人あたり6人程度と稀な病気です。

※貧血とは、一般的に赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値のうちの1種類以上が基準値以下の状態を指します。

再生不良性貧血の症状

一般的な貧血症状として、動悸・息切れ、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、頭痛、顔面蒼白などの組織の酸素欠乏による症状が見られます。

その他に、血小板の減少により皮下出血が起こりやすくなったり、鼻血や歯茎からの出血が起こりやすくなります。

また、白血球(主に好中球)の減少の程度が強い場合は、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。

診断基準

厚生労働省 特発性造血障害に関する調査研究班(平成22年度改訂)

1. 臨床所見として、貧血、出血傾向、ときに発熱を認める。

2. 以下の3項目のうち、少なくとも二つを満たす。
①ヘモグロビン濃度;10.0g/dl未満 ②好中球;1,500/μl未満 ③血小板;10万/μl未満

3. 汎血球減少の原因となる他の疾患を認めない。
汎血球減少をきたすことの多い他の疾患には、白血病、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、巨赤芽球性貧血、癌の骨髄転移、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、脾機能亢進症(肝硬変、門脈圧亢進症など)、全身性エリテマトーデス、血球貪食症候群、感染症などが含まれる。

4. 以下の検査所見が加われば診断の確実性が増す。
1) 網赤血球増加がない。
2) 骨髄穿刺所見(クロット標本を含む)で、有核細胞は原則として減少するが、減少がない場合も巨核球の減少とリンパ球比率の上昇がある。造血細胞の異形成は顕著でない。
3) 骨髄生検所見で造血細胞の減少がある。
4) 血清鉄値の上昇と不飽和鉄結合能の低下がある。
5) 胸腰椎体のMRIで造血組織の減少と脂肪組織の増加を示す所見がある。

5. 診断に際しては、1.、2.によって再生不良性貧血を疑い、3.によって他の疾患を除外し、4.によって診断をさらに確実なものとする。

再生不良性貧血の診断は基本的に他疾患の除外によるが、一部に骨髄異形成症候群の不応性貧血と鑑別が困難な場合がある。

再生不良性貧血で異常値を示す検査

血液検査
増加
血清鉄 ・ フェリチン ・ リンパ球(相対的増加)

減少
赤血球数 ・ 白血球数 ・ 血小板数 ・ 網赤血球数 ・ ヘモグロビン濃度 ・ ヘマトクリット値 ・ UIBC ・ TIBC

※各項目の解説は、リンク先のページをご参照下さい。

コメント

白血球の減少は好中球を含む顆粒球の減少によるもので、顆粒球が減少するために、リンパ球の数は同じでも、白血球の構成比率が顆粒球減少のために、リンパ球の比率が高くなります。