鉄欠乏性貧血と検査について

鉄欠乏性貧血の概要

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することで起こる貧血です。

赤血球内のヘモグロビンを作るためには鉄が必要であるため、鉄が不足すると貧血が起こります。

鉄欠乏性貧血は、偏った食事や過度のダイエットなどによる食物からの鉄分の摂取不足、妊娠時や成長期の子供による鉄需要の増加、体内における慢性的な出血による鉄分の喪失が原因で起こります。

鉄欠乏性貧血は、貧血の中で最も頻度が高く、また、女性に多い病気で、特に思春期と中年に多くみられます。

※貧血とは、一般的に赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値のうちの1種類以上が基準値以下の状態を指します。

鉄欠乏性貧血の症状

一般的な貧血症状として、動悸・息切れ、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、頭痛、顔面蒼白などの組織の酸素欠乏による症状が見られます。

また、鉄欠乏性貧血に特有の症状として爪症状(爪がスプーンのように反り返る、もろくなる、凹凸が出来るなど)や、舌症状(食べ物がしみる、色が赤くなるなど)、異食症(生米や土壁などを食べたり、氷を大量に食べるといった行動が見られる)などが見られます。

女性の場合、無月経や月経周期の乱れが起こることもあります。

鉄欠乏性貧血で異常値を示す検査

血液検査
増加
TIBC ・ UIBC ・ 血小板数

減少
赤血球数 ・ ヘモグロビン濃度 ・ ヘマトクリット値 ・ MCV、MCH ・ 血清鉄 ・ フェリチン

※各項目の解説は、リンク先のページをご参照下さい。

コメント

鉄欠乏性貧血の場合、赤血球内のヘモグロビンの産生が低下するため、赤血球内のヘモグロビン濃度は減少しますが、赤血球自体は、正常に作られている場合が多いため、赤血球数が基準値内である場合も多くみられます。